投資詐欺に高齢者が引っかかって60億。
なんで知りもしない話に乗っかって投資したんだろう?って思います?
今回の投資詐欺は、随分前から芸能人をパーティーに呼んで、わりと派手に人集めをしていたらしいですね。
小林幸子や江木俊夫が60億円詐欺の「広告塔」に「びっくりしています」 - ライブドアニュース
小林幸子さんらのショーも 投資詐欺容疑の社長:朝日新聞デジタル
芸能人を呼ぶとパーティー自体もかなり華やかになるのだろうなぁ。
ぼんやりテレビを見ていたら被害者の夫(70代らしい)が以下のような内容をインタビューに答えていた。
「ああいうところに行くと人が変わる。『おかしいよ』といっても聞かない。キラキラした格好するようになってさ」
派手・豪華なパーティーに行って、芸能人のいるキラキラした世界を見てしまった70代の奥様は、突如キラキラした格好をするようになって投資を始めてしまったらしい。
「私は変わったのよ」となって、人が変わってしまったらしい。
そうなると夫が何を言っても聞かないわよね。
わかるわー、私だってそうなるわー。
まぁ、本来なら投資をする前に、いろんな角度から投資の勉強するのが当たり前かと思う。
さらには、もっと早い段階・若い頃に、きちんとした投資の知識を身につけていれば、甘い話が近づいたときに「おかしいぞ」と気が付くのだろうけど、長年真面目に生きてきたターゲットたちは話を疑えるだけの知識と経験が圧倒的に無かったんだと思う。
疑問すら感じないままにおカネをさしだしたんではないかと。
さらには、突然パーティーに呼ばれてキラキラした世界を見せつけられて、眩さに目がくらんでしまったかもしれない。
地味に人生を送ってきた自分とは別世界のことだと思ってたのに「あなたもこの世界でキラキラできますよ」となれば、私も夢を見てしまうに違いない。
今まで頑張ってきた私へのご褒美に!
もう、誰にも私の人生を邪魔させないわ!
そうよ!人生を取り戻すのよ!
今からでも遅くないの!
私はもっと輝くのよー
輝くのよー
輝くのよー
輝くのよー
素直な人ほどスイッチが入れば猛進してしまうのよね。
そうなれば「おかしいぞ?」も見えなくなるし、見えても自分でフタをして見なくなっちゃう。
「早く投資しなきゃ! 急いでおカネを払い込まなきゃ!」って思いこんでしまうのよねー。だって、他の人に先を越されたら自分が輝けないじゃないの!
わかるわー。
詐欺っていうのは上手にできていて、おカネを払うまでは「おかしな点」に気が付かないようにできているんです。
だから、誰かが「それって絶対おかしいよ」と教えてくれても「投資したことのないあなたに何がわかるの? 私の足を引っ張らないで!」って思っちゃう。
誰の話も聞かなくなるのよねー。わかるわかる。
そんでもって、おカネが戻ってこない・詐欺だ!って分かってから、我に返って涙する、と。
わかるわかる。たぶん私もそうなるわー。
奥さん、他人事じゃないんですよ。
大きな詐欺はニュースになるので「ああ、引っかかるなんて単純だな」と思うかもしれないけど、小さな「詐欺」とも言えない詐欺は意外なところに転がっています。
詐欺に対しての知識があっても、実際の経験、まさに目の前でおこっている現在進行形の現実とは結びつかない人は多いんじゃないでしょうか。
狙われているのはその分野に疎い人です。
だから、詐欺という「点」と、目の前で進行していく現実という「点」を、線で結び付けられる人は少ないんですよ。
だから相談しないし、人の注意を聞き入れることができない。
「詐欺」と気づいた時点で手遅れになっているのはそのせいだと思うんです。
かつて私も危うく引っかかるところでした。
今日は私の話をしましょう。昔々の話です。
だいぶ昔の話ね (/ω\)悲しい
小さな詐欺は身近に転がっている
それは私が大学受験生だった頃の話です。
私は受験のため、とある駅で降りました。
大学側は駅の近くに受験生専用のバスを用意してくれていたので、受験生はそれに乗り込んで大学の受験会場に向かうようになっていました。
とある分野で、当時日本で一つしかない学科がある有名な私立大学でしたから同じ学科を受験する受験生がたくさんいました。
その大学の受験書類に目を通すと「当大学の関係者を名乗る人に十分注意してください・当大学では入試結果に対し後からおカネを請求することはありません」という内容の注意事項がありました。
受験票が郵便で届いたときも似たような注意書きが最後に書いてありましたので、「ああ、なんか受験詐欺とかあったんだろうな」と思ったことを覚えています。
入試当日
たくさんの受験生が駅で電車から降りるわけです。私も降りました。
駅からバスまで5分ほど歩くのですが、ふと見ると受験者たちは皆、途中で列を作り並んでいます。見ていると、お財布からお金をだして、何か紙のようなものと一緒にスーツ姿の男性に渡しています。
なんだろう?と思っていたら声が聞こえました。
「〇〇大学受験の皆さんは、入試結果の連絡のため、至急こちらに名前と電話番号・住所・受験番号をかいて提出してください。入試結果の報告には3000円かかります。」「受験の前に提出してくださぁい」
スーツ姿の男性が3人ほど、大声で受験生を呼び止めていました。
私は、大学の職員だと思いました。
受験生達は慌ててそこへ殺到して申込用紙をもらい、大急ぎで名前だの受験番号だのを書きこんで3000円と一緒に男性に渡していたんですね。
みんなお行儀よく列を作って並び、順番に申込用紙とおカネを渡してからバスのほうへ向かいます。
私は、ぼーっとして立ちすくんでしまいました。
すると「あなたも早く書いて」とスーツの男性から申込用紙を渡されたんですよ。
ええ!?どうしよう
私、不思議だったんです。
受験結果の連絡は受験料に含まれていますし、受験日に何かの申し込みが必要ならそのように大学からの書類に記載されるはず。あり得ませんけど、そういった場合は駅前ではなくて大学の試験会場でおカネを払うはず。
なんでだろう?と。
都会に不慣れな垢抜けない女子高生だった私です。初めての受験で知らない土地に一人で来て、想定外の事態です。
なんでみんなここで払ってるの!?
私もここで提出しないと受験できないの!?
でも、みんな払ってるってことは必要なんだよね?
不安になって立ちすくんでしまったんですね。
私が考え込んでると男性が「バスが出るまで時間がないから、早く書いて」と急かすんですよ。
そこで私、その男性に「あのう、これ、今、絶対必要なんですか?」と訊いたんです。
すると男性は「入試結果を連絡するので書類に必要事項を書いて申し込んでください」と、同じ内容を繰り返し言うんですよね。
違う。
私が訊いているのは「今、絶対に必要かどうか」なのに、返事の内容が違う。
コイツ、バカ?(当時から私は気が短くて、すぐに沸騰していました)
納得できないから、私はもう一度その人に確認したんですよね。
「でもこの申込内容は受験申込の時に含まれている内容ですよね?」と。
するとその男性、突然私から離れて行き「ここへ並んで提出して下さーい」と大声で他の受験生を誘導し始めたんですよね。
あれ?聞こえなかったのかな?
待って~~~
私は男の人を追いかけていってもう一度確認したんですよ。
(当時から私はしつこかった)
「〇〇大学の人ですか?」と訊いたら、クルって反対側を向いて他の受験生に「至急提出してくださぁい」と言い始めたのね。
しつこく「あなた〇〇大学の職員ですか?」ともう一度訊いたんですけど、なぜかシカトされてしまったのね。
どうしよう(泣)
この人教えてくれないよう(泣)
わかんないじゃん(泣)
私、不安だし、困ってしまいました。
ふと周りを見ると、たくさんの受験生が列に並んでおカネを払って申し込んでいる中で、駅からバス乗り場に直行する受験生らしい人もチラホラ見えたんですよね。
「あれ、あの人受験生じゃないのかな、提出していかないけど大丈夫なのかな?」
本当に必要なら受験会場で説明があるだろう。
そう思った私は、申込用紙をゴミ箱に捨てて指定のバス乗り場に行きました。
バス乗り場に行くと大学の職員がメガホンで「当大学関係者はおカネを集めていません!絶対におカネを払わないでください」と何度も繰り返していました。
私、そのとき初めて受験書類の注意書きと目の前で起こっていたことがつながったんですね。「ああ、これが大学を名乗る人物に注意してくださいってヤツか」て。
当時、私はこんな簡単な詐欺がわからなかったんです。
経験値がないから、事前に書類で読んだ内容と目の前で起こっていることがうまく頭の中でつながらなかったんですよ。
たぶん、詐欺は点と点が線でつながる前に成立してしまうものなんですね。
「もっと駅の近くで言え!もう少しでおカネ払いそうになったやんけ!」と思いましたけど、あの人たちは大学関係者を名乗ってたわけでもなく、たぶん「受験者に受験結果をお知らせする仕事」をしているだけなんですね。
そして受験生が勝手に大学関係者だと勘違いをしただけの話。詐欺ではない。
大学が直接苦情をいれにくいグレーゾーンの仕事なんでしょう。
バスを待っている間、私の後ろに並んだ女の子に「あれ、大学の関係者じゃないみたいだよ。申し込んだ?」と訊いたら「えー!どうしよう!お金払って申し込んじゃった」と慌ててました。
一人が気が付くと、みんなが気がつきます。動揺も広がります。
他の受験生を受験前に動揺させてみましたが、私は不合格でした。
(/ω\)私、エリートコース脱落。
(/・ω・)/よっこいしょ
私は、受験生と思われる人たちのほとんどが列に並んで申し込んでいたので不安になったんだと思います。
まだまだ社会経験が少ないうえに、精神的に余裕がなくて「至急提出して」と言われると、慌ててしまいます。
大学の関係者と勘違いしてしまうし、みんなが申し込んでいると不安になります。
詐欺っていうのは上手にできていて、おカネを払うまでは「おかしな点」に気が付かないようにできているのです。
点と点が線でつながった時はおカネを取られてしまった後なんですよ。
高齢者、主婦、大学生どころか中学生や小学生まで詐欺にあう時代です。
他人事じゃないんですよ。あなただって。
本日は以上でーす。