ただいま思案中。

ハンドメイド作家がネットをさまよっています。

小さな毎日、ありふれた風景

切り絵を手に入れたので、額縁屋さんに持って行って額を作ってもらった。

定型サイズにマットを入れて調整すればいいので、本当は額を作る必要もないんだけど
定番の中では気に入った額が見つからなくて、店員さんに相談して額を作ることになったのね。

その切り絵は大量に作られているお土産用の中国剪紙。
所詮安いお土産ものなんだし、クリアファイルにでも入れてその辺に画びょうで刺しておけばいいのに
「きちんとした額を作って飾る」っていうんだから、私も店員さんも、少し頭がおかしい。

でも、店員さんは
恥ずかしそうに私がカバンから出した切り絵を見て、一度も笑うことなく・バカにすることなく、まるで名画を持ってきたお客さんのように扱ってくれるのだから「プロってすごい」というほかない。

お土産だろうが、落書きだろうが、その人が感じる価値に見合う額を一緒に選ぶのが額装屋の仕事なんだと本人はおっしゃってた。

私はこんなにプライドを持って仕事をしたことがあっただろうか。

小さな毎日、ありふれた風景

この切り絵を見て、ひと目でモチーフが西王母だとわかった。

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足元に雲、手に桃を持っているので西王母
桃は侍女が持っているときもあるけれど、一人で桃を持っている場合は、その人が「西王母」というのが決まり事です。

 

西王母

もともとは疫病をつかさどる中国土着の神様。
道教の神様・玉皇大帝の奥さんとなり、やがて最高位の神様にまで上り詰めます。
西の仙境「崑崙山」の主人だから西王母と呼ばれる。

 

彼女の桃は3000年に一度実るといわれ、不老長寿の効能があります。
あるとき、やっと実った桃を食い荒らし、西王母を怒らせたのが猿王。
猿王は長い長い年月を石の牢獄で一人すごすという罰をうけたのち、「孫悟空」と名前を与えられることになります。

また、西王母は月のウサギに不老長寿の薬を作らせることでも有名。日本では月のウサギはモチをつきますが、中国では薬草をついているんです。

 

話が逸れて長くなりましたけど
そんなこんなで額装屋で30分ほど話し込んで額をセミオーダーしたところ、1週間ほどで出来上がってきました。
セミオーダー:額の素材を選んで定型サイズで仕上げる・完全オーダーメイドより手ごろな値段で作れるのがポイント

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西王母 = 夜空に浮かぶ月をイメージした、ベタで安直なセレクトで出来上がってきた額は
古びたアンティーク調のゴールドの額縁に黒いマット。

店員さんもこのゴールドの額縁を「おもしろい(いい感じ)」と言っていたし、私も最初からこれが素敵だと思った。

しめて5700円。

 

(/ω\)

 

切り絵の10倍ですよ?
(/ω\)奥さん、事件です。

 

綺麗に仕上がった額は、実際に手に取ってみると高級感があって
質の良い黒いマットが美しい、想像以上の仕上がりです。

やっすい切り絵とは見事にアンバランスな関係。
(/ω\)人生って悲しいね

でも
小さな毎日のありふれた風景がほんの少し素敵になって
私は嬉しくなった。

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汚ねぇ壁だなぁ、おい。
(/ω\)人生って悲しいね(2回目)

我が家の薄暗く汚い壁に掛けてみたら
古びたアンティーク調の額も、本当に古く汚れて錆びた感じに見えてきた。

数十年間、掛けっぱなしになっている額のように
見事に我が家に溶け込んでいる。

ああ、額縁屋ってスゴイ。

 

【今回額縁屋で仕入れた、切り絵の飾り方の豆知識】

切り絵はスプレー糊で台紙に貼り付けて飾ることもあるようですが、台紙が色褪せても外せないので、みすぼらしくなります。

額縁屋では糊で固定せず、台紙とアクリル板に切り絵を挟みこみ固定→その上からマット、アクリル板(もしくはガラス)を載せて→額に収めてくれます。

作家の素敵な切り絵は、スプレー糊で固定するより額縁屋さんに頼むのがお薦めですよ!

本日は以上でーす。