cyancy’s blog

ハンドメイド販売が生業。いかにハンドメイド商品を売り込むか、日々攻略中。

トレンチデカ

 

 

昔の話をしよう。
それは私がとあるショッピングモールの店員だった頃。
小さな田舎町のショッピングモールといっても、窃盗団が東京から流れてきたり、クレジットカード詐欺などの仕事人みたいなのが流れてきたりする。ショッピングモールでは一見正社員の格好をしたパートがレジをすることが多いので、店員を束ねる社員は他のチェーン店から詐欺があったという情報が入るとレジに注意を促すし、レジ店員は詐欺の疑いのある不審なクレジットカード使用者の特徴を覚えたりすることもあります。
店内は私服の万引きGメンがいるし、お客さんにはわからないような店員向けのアナウンスが入ることもある。

以前、軽く触れたことがありますが小中学生による強盗事件(警察は強盗事件と呼んだ)がおもちゃ売り場でおきたこともあります。

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おもちゃ売り場といっても、人気のあるゲーム機は非常に高額商品だし、カードゲームにしろプレミアがつくので換金性が高い。偽物のクレジットカードで購入しようとする若い男や、大量に万引きしていく小学生もいるので、そういう意味でも神経を使う売り場でもある。
もちろん高額商品や頻繁に万引き被害にあいやすいレアカードが入っているような商品は前面と天板がガラスのショーケースに入れ、鍵をかけ、店員を呼ばないとお客さんは商品に触れることができないようにしていたのだが、どうしても売り場のレイアウト上大きいガラスケースはレジの死角に配置せざるを得なかった。

なんだかんだいっても田舎のお店の小さなおもちゃ売り場である。鍵がかかるショーケースに入れてあること、人目につきやすい場所であったことで安心していた感がある。監視カメラなどつけることも思いつかないほどの小さな売り場であった。

 

トレンチデカ

 子ども達の窃盗グループ

ある朝、私が売り場に出勤すると、朝一のシフトで開店前に出勤していた売り場のアルバイトさんやパートさんたちが店内のレジ横で騒然としていた。
そこには事務所にいるはずの店長や副店長、チーフたちもいた。

すぐに開店時間がくるので、私はレジを開けながら売り場の整理をしつつ、チーフから昨日の売り場の状況についての質問を受けるのです。

「昨日の夕方、ガラスケースからカードゲームのカードを出してお客さんに売った? 今朝、売り場の担当者が売り場を整理していたら大量のカードが消えているのに気づいてね。でもガラスケースには鍵がかかっているから・・・。」

ショーケースの鍵はいつもの保管場所にある。
でも、カードが大量に紛失している。
売り上げにカードが大量に売れた形跡がない。
おそらくレアカード狙いで盗まれたと思われるので、さっき警察を呼んだから。

そんな話をチーフがしている間に警察が到着しました。
おもちゃ売り場の担当者が、お店のバイヤーと一緒に警察に事情を説明しながら売り場を案内し始めます。

ドラマでご存知の方も多いと思いますが、事件とみられる場合は鑑識が現場検証を始めます。ガラスについた指紋も確認します。
なのでガラスに触れたことのある全ての店員の指紋も照合することになります。当然私たちは指紋を提供することになりました。指紋を提供する際に、優しくて感じの良い鑑識の方から指紋の保存期間の説明を受けます。その当時は「半年」と説明されました。

2時間ほどで鑑識の方と警察の制服を着た方は帰っていきました。
その後、事務所で警察と長い時間話していたバイヤーとマネージャーが戻ってきて、状況を我々店員に説明し始めました。

売り場のガラスケースは鍵がかかっていましたが、実はガラスケースの天板部分のガラスは固定されていない構造だっため、フック状の専用の道具を天板のガラスの小さな小さな隙間にいれて天板を引っかけて持ち上げれば蓋のように簡単に上部が開く状態だったそうです。ガラスケースはレジの死角に置かれていましたから、店員が手薄な夜の時間帯に、店員を監視しながら数人で重いガラスの天板を持ち上げ、盗んでいったらしい。

そして田舎といえども、小中学生で、店の店員が少なくなる時間帯・手薄になる時間帯を狙って窃盗をするグループがいること。以前からそのグループを警察がマークしていたこと。
今回、カードを大量に盗んでいったのもそのグループとみられること。
下見をして天板が固定されていないことを確認したうえでの計画的な犯行と思われること。

 

ため息をつきながらマネージャーは話を続けるのです。


小中学生といっても大人が指示をだしているかもしれないこと。
下手に店員が対応すると危険な場合もあること。
今後、売り場は大改造し、ガラスケースは天板が固定されているものを使うこと。
監視カメラをつけること。等々。

 

ふと売り場を見ると担当者は正確な被害額を確認するために半泣きで売り場の棚卸を始めていました。

なんだか去年も同じ話を書いたんだけど、いつもこの時期に思い出すのよね。
おもちゃ売り場ではこどもの笑顔に接する毎日ですから、こどもを疑わなければいけない事件が起きて、なんだか複雑でイヤな気持ちになったことを覚えています。

 

後日談

後日、もう一度細かく事実確認をするためにお店の売り場に私服の刑事が来ました。

私のいたお店では、基本的にどんな取引先も、まず事務所に声をかけてから店内の売り場に入ります。巡回中の警察官も、用事がある場合はまず事務所に声をかけてくれます。店内はいかなる場合もお客さんが最優先です。私たちももそれが普通だと思っていました。

が、いわゆる刑事という人たちは
空気を読まず、事前連絡なしにやって来ます。

 

彼は遠くから見ても完全に私服の刑事さんだとわかる完璧な格好でやってきました。
なんとその刑事はトレンチコートにハンチング帽をナナメにかけ、いわゆるベタな刑事ファッションでやってきたのです。ちなみにその当時、時代はユニクロのシンプルファッション全盛期です。
彼とすれちがう全てのお客さんが「昔の刑事ドラマでよく見たファッションね(笑)刑事さんかしら」的な笑顔で見守っている中で、レジに立っていた私の正面に少しナナメな角度で立ちふさがり、胸元から警察手帳を取り出しざまクルクルと指で見事に回しながら手帳を開いて私の眼前に突きつけ、キザに言いました。

「店長と話がしたい。」

 

「いらっしゃいませ」と言いかけて突然右半分の視界を警察手帳でふさがれた私は、左半分の目だけを動かして、その失礼でキザな刑事さんを観察するのですね。
40代でしょうか。キメ顔をしたトレンチ刑事(デカ)さんは、開いた警察手帳を私の顔の5センチほど手前にぶら下げたまま、上から目線でこちらを見下ろしているワケです。(個人的感想です)うしろには部下らしき男性が一人立っていました。

 

黙って立ち尽くす私とトレンチデカ。と、部下。

 

(/ω\)

 

私「(小声で)・・・Aさ~ん、私、レジだから、手が空いているようだったら、こちらの(アホな)刑事さんを事務所に案内してください。」
A「(小声で)私が事務所にご案内いたします。こちらへどうぞ」

 

私の鼻先に警察手帳をぶら下げたトレンチデカの、コントみたいな一部始終をみていたAさんは、トレンチのキザな仕草に肩を震わせながら事務所にトレンチ野郎を促します。
トレンチデカは警察手帳をしまうとトレンチの裾を翻し、後ろに控えていた部下と一緒にAさんの後をついて行き私の視界から消えました。5分ほどで売り場に戻ってきたAさんは、笑いを必死でこらえていたようで顔が真っ赤になっていました。

その後も他の売り場で刑事が来たり警察を呼んだりすることはたまにあったと思うのですが、レジに立っているパートの店員に突然警察手帳を突きつけるようなドラマかぶれの失礼なデカに会ったのはその時が最初で最後です。 

※よく、トレンチデカに関しては脚色しているとか話を盛っているとか言われますけど、トレンチデカは実話です。 

 

  

 

私、刑事さんに警察手帳突きつけられたことが今までに何度かあるんですけど、刑事さんに警察手帳を突き付けられても、そもそもそれを本物だと見分ける術が私には無いんですよね。

正直言えば刑事さん独特の目つきも嫌いなんですよね。

 

スケバン刑事 コードネーム 麻宮サキ ヨーヨー

スケバン刑事 コードネーム 麻宮サキ ヨーヨー

 

 

またね!