ただいま思案中。

ハンドメイド作家がネットをさまよっています。

私が見た 名もなき職人

 

 

昔、工場でフライスや旋盤を使って鉄を切削して部品を加工していた者です。こんにちわ。

 

今となっては使い物にならないが、よく考えたらアタシ、そこそこ技術持ってた。

昔、大手(オリンパス)の大工場で研修して、金属を何やら加工して、コンマ1の誤差がでないように必死で切削した記憶がある。研修はすべて点数で評価されて自分の会社に報告されるので、新人といえども必死。

研修先で「女がなんでこんな仕事してるんだ、どうせ嫁にいくからお前に教えるのなんて時間の無駄だろ」とかよく言われたな。「お前、大学でてるのか、4年も無駄な勉強してたのか、どうせ嫁に行くんだから女は短大までだろ」とか。

 

(/ω\)今思い出してもムカつくのよ。
オリンパス本社の研修生を抜いてトップの成績とってやったわよ

 

自分の会社に戻れば現場のオヤジたちが私の切削のお手並み拝見、となる。数か月間、現場で切削しながら部品の流通管理を学んだ。 部品が作れないヤツが管理職になると現場の職人にバカにされて、結果、仕事がまわらなくなるのよ。

加工した部品は無電解ニッケルやレイデント、ユニクロ(クローム)等で処理するので、図面に沿って、その1ミリにも満たない塗装分の厚みを考慮しながら金属を切削したりするんだよ。

メガネかけて安全ブーツ履いて、図面見ながらフライスを回し続けるオッサンたちに混じって加工してた。

金属ってのは加工するとバリがでる。バリをとったり、研磨したり、焼いたり(硬化処理)いろんな工程を経て一つの部品に仕上げていく。

 

簡単な図案なら、オバちゃん、まだフライスもイケると思う。

 

名もなき職人 

人の手の感覚はコンピューターより繊細だ。
何十年もフライス一筋で働いていたオヤジたちの手は黒く、指の皮も分厚い。なのに0.1ミリの段差をサッと触って指で感じ取って「こんないい加減な仕事したのは誰だ、コラァ」と怒鳴りにくる。

そんな精密な仕事を田舎のオヤジたちは何十年も当たり前のように続けている。

加工は起点からX軸Y軸に動かすので、フライスで切削中に雷が鳴りでもしたら大変だ。一瞬でも電気が落ちたら起点が狂ってわからなくなる。近くの空き地でボーリング調査があると、その小さな振動が影響する。

 

ある日、午後の2時に雷が鳴って、電気が2回落ちました。
工場のオヤジたちは「やってられねーよ」と言って家に帰ってしまいました。

午後の2時だよ?
工場長も帰っちゃった。だって電気が落ちたら仕事にならない。雨が止んで晴れてきたって工場に戻ってこない。だって家に帰ってお風呂に入って一杯やっちゃってるから。

社長は怒鳴り散らすけどどうしようもない。オヤジたちには技術があるので働き場所は山のようにある。

「気に入らねーならやめてやってもいいんだぜ」これが口癖だ。

 

現場のオヤジたちはインテリが大嫌い。
私は大卒女だったので「おめー、気に入らねーな、大卒ってのは理屈ばっかりコネやがって」と初対面で言われたのだ。

なんてことはない。なんだかんだいって1か月で丸め込んだ。
いや、むしろ気に入られた。

 

(/ω\)俺の息子の嫁にならないかって言うの。

単純なのよ。

 

日本の精密機械は、平成の世になっても、こんな田舎の地味でどうしようもないオヤジたちの作る部品によって支えられているんだよ。

 

私が見た職人って、こういうオヤジたちだった。

セミナーがどうとか、講師にカモにされたとか、
フワフワ浮かれたヤツはいなかったな。

しかし仕事は完璧だ。アンタはどうかな。

 

またねー