ハンドメイド屋のシアンです。こんにちわ
グズグズしてたら時間が無くなったので猛烈に仕事をこなしている。
入荷の遅れていたロマンチックな花柄の布をやっと手に入れた。
私は今、札束をタンスにしまい込んだ団塊の世代が自分にそっくりな孫のために買う服を製作中だ。ドレスのような幼児服を。
若いママさん方に売れ筋なのはシンプルなかわいらしさのある作品だ。
しかし団塊の世代は違う。戦後に生まれ、赤ヘル黒ヘルかぶって学生運動に身を投じて学校を占拠するも敗北し、社会人として丸くなり、定年で仕事を引退。
それでもなお小さい頃、憧れても憧れても手に届かなかった、あのお金持ちのお嬢様のドレスが頭に焼き付いて離れないらしい。
そして今、彼ら彼女らは気が狂ったかと思うようなイカれたドレスを、気がフレたような値段で孫のために買っていく。
そしてイカれたドレスを作るワタクシ。
それはプリンセスプリンプリンも髪の毛が真っ白になるほど着るのをためらうようなお姫様ドレスの数々。
プリンプリン、ご存知ですか (/ω\)
つまらない作家になってはいけない
私は布選びの時点で団塊の世代に魂をささげ媚びを売りまくり、コッテコテのドレスを作る。
幼い頃、与えられたおさがりの服を着ながら夢見たであろう異国の王女様が着るようなドレスの数々を多少大げさにしつつ再現してやるのだ。
正直に言おう。ぶっちゃけ悪趣味だ。
そして売る。
気がふれた値段で売る。
『買った・買えた』という満足感を得るための金額なのだ。安くてはいけない。
自分が夢見たドレス。生活していくのに必死で、こどもにも着せてあげられなかった憧れのドレス。
ああ、でも今なら大丈夫。私はコレを買って孫に着せてあげられる。
金歯が光る満面の笑みで「かわいいわぁ」と言って旅館ロビーで、ホテルの土産物コーナーで、饅頭と漬物と一緒に買われていく。
半世紀以上、心の奥底に眠っていた幼い頃の憧れとともに買っていく。
孫を通して、記憶の中の幼い自分にそして娘に、ドレスを着せてやるのだ。
「かわいい、かわいい」と笑顔がこぼれる。
それはとても幸せな時間だろうと思う。
ノウハウだけ調べて「売れる方法」を知りたがるような、つまらないハンドメイド作家になってはいけない。
もっと目を凝らして隙間を突けや。
私は他人の記憶にもぐりこんでお金を稼いでいる。
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